Sanaブログ おきなわのおばけ

夏になると、内地では怪談が広まりますよね。お化けや妖怪のお話を怖い気持ちで聞いて、夏の暑さを忘れようという感じですね。

でも、沖縄では夏に怪談を語る習慣はないんですよ。夏が長いから、そんなことをしてたら、一年中ずっと怖い話が続いちゃうかもしれないですね。北海道も同じように怪談が少ないみたいです。これは、沖縄と逆で夏があまり暑くないからでしょうね。

おもしろいことに、内地という言葉を使うのは沖縄と北海道だけです。

でもね、沖縄にもお化けが出るんですよ。その中でもよく知られているのが、まかん道に出る逆立ち幽霊と、首里龍潭池の向かい側にある大村御殿(ウフムラウドュン・昔、旧県立博物館あたりあった侍の家)にでる耳切り坊主(ミミチリボウジ)です。

というわけで、今回は耳切り坊主のお話を紹介しますね。怖くないように聞いてくださいね😅

はじめに、耳切り坊主の歌から

1 ヘイヨー ヘイヨー ヘイヨー ヘイ
夕さんでぇ市かい 追ういいね
大村御殿ぬ  門なかい
耳切坊主ぬ  立っちょんど
幾人幾人   立っちょうが
三人四人   立っちょんど
何と何と   持っちょうが
いらなん刀ん 持っちょんど
しいぐ小ん包丁小ん 持っちょんど
ヘイヨー ヘイヨー ベル ベル ベル
〔夕暮れ門の前に大村御殿の門に、耳切坊主が立っているぞ、カマも刀も持っているぞ、小刀も包丁も持っているぞ。〕

2 ヘイヨー ヘイヨー ヘイヨー ヘイ
朝寝夕起する  わらべー
耳切坊主ぬ   耳ぐすぐす
泣ちゅる童   鼻ぐすぐす
朝起早起する  わらべー
美らヤーヤーに さばくまち
博多ぬ帯ん   くんしみて
来ゅうる三月  四日ぬ日
浜下り海下り  しみゆんど
ヘイヨー ヘイヨー ベル ベル ベル
〔朝寝坊夜更かしする子供は、耳切坊主が耳ぐすぐす、泣く子供は鼻ぐすぐす。
早起きする子供には、美しい着物に草履を履いて、博多の帯も締めて、浜下り・海下りさせてあげるよ。〕

3 ヘイヨー ヘイヨー ヘイヨー ヘイ
寝んぢゅる童  性入りむん
明日ぬ目くふゎやーや まぎさんど
まあさる御菓子 呉みせんど
幾ち幾ち    呉みせえが
三ちん四ちん  呉みせんど
何と何と    呉みせえが
天妃ぬ前ぬ   大饅頭
御重御菓子   あぎぽーぽー
ヘイヨー ヘイヨー ベル ベル ベル
〔夜更かししないで寝る子供はいい子で、お菓子をたくさんもらえるよ。天妃宮の前で売っている
大饅頭や、あげポーポーももらえるよ。〕

昔々、琉球の国に、とても黒い皮膚を持つ坊さんが住んでいました。そのため、その坊さんは、黒金座主(くるがにざーしー)という名前で呼ばれていました。彼は遠い唐の国で学んだ妖術を使うことが、とてもじょうずでした。。

坊さんとは、普通は困っている人々や悩んでいる人々を助けるものですが、この黒金座主は女性をだまして楽しむことが大好きで、妖術を使って女性たちをだまし、寺に連れ込んでしまうのでした。その女性たちは一度寺に入ってしまうと、二度と戻ってこないと言われていました。その女の人たち寺から出てくるのを見た人は誰もいなかったそうです。

ある日、この事件を聞いた王様は大いに怒り、「こんな妖術を使う男をこらしめてやる」と、黒金座主をこらしめることを決意しました。

そこで王様は、大村御殿(うふむらうどゅん)に住む弟の北谷王子を呼び寄せて、黒金座主をこらしめるように頼みました。北谷王子は賭け事を提案しました。碁で対決し、もし黒金座主が勝てば、王子が髷(まげ)を切られ、逆に北谷王子が勝てば、黒金座主が耳を切られるという賭けでした。自信満々の黒金座主はこの賭けを受け入れました。

対局が進むにつれて、黒金座主は次第に追い詰められていきました。しかし、彼は得意の妖術を使って王子を攻撃しました。しかし奇妙なことに、その妖術は全く効かないのです。とうとう黒金座主は敗北の危機に直面し、必死になって小刀で王子を襲いました。しかし、武芸に秀でた王子はその攻撃を巧みにかわし、近くにあった刀で黒金座主の耳を一瞬で切り落としました。

その傷口からばい菌が入り込み、黒金座主は感染症に冒されて命を落としてしまいました。死のまぎわに、彼は「おまえの子供たちに祟ってやる」と呪いをかけました。

それからは、彼は亡霊となって、子供たちの耳を切ろうとして大村御殿の塀の角に現れるようになり、耳切り坊主(みみちりぼうじ)として恐ろしい姿で知られるようになったのです。

耳切り坊主は不思議なことに、女の子の耳には興味を示さず、男の子の耳だけを狙うようになりました。それからは、琉球の人々は男の子が生まれるたびに、このような歌を歌うようになったといいます。

♪ウフーイナグの 生まれたんどオ

  ウフーイナグの 生まれたんどオ♪

(大きな女の子が生まれたよ)

こうして、琉球の国で、耳切り坊主の物語が語り継がれることとなったのでした。

みんな、龍潭池あたりに行くときは、耳を切られないように注意してね😱

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